そんな疑問をお持ちの方向けにそもそもImmutable X(イミュータブルエックス)が何なのか、その特徴や将来性について詳しく解説していきます。
そもそもImmutable Xとは?
Immutable X(イミュータブルエックス)とは、NFT取引におけるイーサリアムの課題を解決するために作られたレイヤー2のソリューションです。
情報量が多くなってしまったので、もう少し噛み砕いて説明してみます。
現状、多くのNFTプロジェクトが開発されていて、その多くが基盤にイーサリアムを使用しています。
イーサリアムにはいくつか大きな問題があります。
- ガス代と呼ばれる手数料が高い
- 取引の処理に時間がかかる
- 環境負荷が大きい
2021年には、非常に多くのNFTプロジェクトが誕生して盛り上がりを見せましたが、多くの人がイーサリアムを利用すればするほど、手数料が高騰し、ユーザにとっては使いづらい状況にありました。
この課題を解決して、もっとユーザにとってストレスなくNFT取引をできるようにという目的で開発されたのが、Immutable X(イミュータブルエックス)です。
Immutable Xは、イーサリアムを利用したレイヤー2と呼ばれる仕組みのサービスです。
レイヤー2とは
一部の処理をメインのブロックチェーン(イーサリアム)の外で行うことで処理の高速化を実現する技術
Immutable Xの特徴を紹介します
Immutable X (イミュータブルエックス)の特徴を紹介していきます。
- セキュリティと分散性を犠牲にせず高速処理を実現する
- NFTプロジェクト向けのレイヤー2ソリューション
- 環境負荷が小さい
セキュリティと分散性を犠牲にせず高速処理を実現する
Immutable X以外にもブロックチェーンの処理スピードの向上を目的として作られたサービスはたくさんあります。
- サイドチェーン
- Matic
- Ronin
- レイヤー1
- Flow
- Solana ・・・
サイドチェーンとは
イーサリアムとは別のブロックチェーンを作り、そこで処理を走らせる仕組み。
サイドチェーンでは、イーサリアムとは別に用意したチェーンで処理を行います。
基本的に処理は別チェーンで完結し、セキュリティのレベルは別チェーンがどれほどの水準かによってしまいます。
イーサリアムの高レベルなセキュリティ水準と比べるとどうしても落ちます。
実際に、Roninでは、2022年3月にハッカーがネットワークをハッキングし大量の資産が盗まれたという事件が起きました・・
レイヤー1とは
ブロックチェーンそのもの。
メインチェーンの上に構築するサイドチェーンと違って、レイヤー1はメインチェーンそのもの。
できて間もないレイヤー1の独自チェーンは、イーサリアムと比べ歴史が浅いため、ネットワークに参加しているユーザが相対的に少なく、分散性の程度が低いです。
分散性が低いと、データ処理の不正が起こるリスクが高まります。
Immutable Xは、レイヤー2と呼ばれる仕組みで、データをイーサリアムに保持することで高い分散性とセキュリティを保ち高速化を実現します。
少し難しい話になりますが、Immutable X上にサービスを構築するユーザは、ZK-RollupとValidium ZK-proofという二つの仕組みのどちらかを選ぶことができます。
このうち、Zk-Rollup技術についてすごく簡単に説明します。
Rollupとは「巻き上げ」という意味です。
まず、イーサリアム外で多数のトランザクション(取引)を大きな塊にまとめて処理を行います。
その後、結果のデータをイーサリアムに書き込みます。
計算処理はオフチェーンでやるが、データをイーサリアム上に保持することでセキュリティを担保しているイメージです。
イーサリアム上で取引を実行するのに比べ、書き込む量が少なくなるので、高速化できるのです。
イーサリアムの1秒あたり最大処理件数は15件程度と言われていますが、Immutable Xは秒間あたり何と最大9,000件の処理ができるとうたっています。
また、利用者はガス代ゼロで取引やNFTの作成が可能です。
NFTプロジェクト向けのレイヤー2ソリューション
冒頭に記載した通り、Immutable XはNFTプロジェクトをより使いやすくするために開発されたレイヤー2のソリューションです。
2021年9月にマイニングと取引機能がスタートしてから、現在は数多くのNFT系サービスがImmutable Xを利用して稼働しています。
上記マーケットプレイスでは、Immutable Xを使っているサービスのNFTを取引できます。
ここでは、いくつか有名プロジェクトを紹介したいと思います。
Gods Unchained
Gods Unchainedは、NFTトレーディングカードバトルゲーム。
カードが数百万円で取引されたことがあり、大きく話題になりました。
Immutable Xを開発したImmutable社は、もともとこのGods Unchainedの開発を行なっていた会社なんです。
Gods Unchainedはイーサリアム上で動かしていましたが、取引速度や高いガス代といった課題を解決するために独自ネットワークの開発を行い、それを外部に公開しているという経緯です。
Moody Krows
Moody Krowsはカラスをモチーフにした一万個のNFTコレクションです。
何とリリースから1分以内に完売し、6日以内の二次販売で600万ドル以上の売り上げを達成しました。
Illuvium
Illuviumは2021年に大ブレイクしたAxie Infinityの次に来るNFTゲームだと期待されている超注目のRPG系ゲームです。
システム的にはポケモンに近いですが、3Dのグラフィックがかなり美しく、これまでのブロックチェーンゲームから頭ひとつ抜けているなという印象です。
2022年6月に一般ユーザ向けにリリースされる予定です。
OpenSea
OpenSeaは2022年現在で世界トップクラスの取引高を誇るNFTマーケットプレイスです。
2021年4月にImmutable Xを基盤としてサポートするとの発表がありました。(ただし、その後は特に続報がありません)
環境負荷が小さい
現状イーサリアムは、ネットワーク維持のために使われる電力が非常に膨大で、環境への悪影響が大きいと問題視されています。
2022年4月時点では、イーサリアムはアルゴリズムにPoWという仕組みを採用しています。
PoWは、ネットワーク参加者が計算競争を行い、競争に勝った者がブロックチェーンに取引を記録できる権利を得る仕組みです。
普通のネットワークであれば、サービス維持のために管理者が電力を負担するだけで済みますが、
ブロックチェーンの場合は、多数のマイナーがサービス維持のための計算に参加することになり、電力の使用量はその分非常に膨大なものになります。
しかも人気が増えてネットワーク参加者が増えると自動的に計算の難易度が高く調整され、
さらに使用電力が高まります。
現在、フィンランドで消費される量とほぼ同程度の電力が使われているようです。
なんと一つの国と同じレベルなんですね。
一方で、Immutable Xは、イーサリアム単体と比べて使用電力量が少なく、環境負荷が小さいです。
「外部で取引処理を行ない、その結果をイーサリアムに書き込む」という仕組みのため、イーサリアム上で全処理を完結する場合と比べて、イーサリアムネットワークに書き込むデータが少なくて済みます。
このため使用電力が少なくて済むのです。
例えば、Gods Unchainedで800万枚のカードを生成すると、約4億9,000万kWhの電力が消費されるとの試算があります。
しかし、Immutable Xでは、実際1,030kWhの電力しか発生しませんでした。
参考:https://immutablex.medium.com/immutable-x-is-making-nfts-carbon-neutral-on-ethereum-620dd0be08ae
イーサリアムと比べると何と47万5,000分の一。
大幅に小さいですね。
小さいとはいえ、NFT生成の電力を完全に0にすることはできはないのですが、Immutable社はカーボンクレジットと呼ばれるものを購入しており、それと相殺することで、カーボンニュートラル(温室効果ガス生成実質ゼロ)をうたっています。
IMXの使い道を簡単に紹介します
IMXはImmutable X(イミュータブルエックス)での取引やアプリ開発等の活動に報酬を用意するために設計されたトークン(仮想通貨)です。
最大供給量は20億枚となっています。
以下の使い道が用意されています。
- 料金
- ステーキング
- ガバナンス
料金
Immutable Xはガス代がかかりませんが、実行された取引の金額の2%を手数料として徴収されることになっています。
その手数料の20%はIMXで支払いが必要です。
IMXを保有していない場合、保有しているETHが自動でIMXに変換されます。
ステーキング
手数料に使用されたIMXはステーキング報酬用にプールされます。
IMXをステーキングすると、ステーキングに参加したユーザに上記から報酬が分配されます。
ガバナンス
IMXの保有者は、Immutable Xの今後の開発運営方針を決める際の提案に投票できます。
投票の影響度はIMXの保有数によって変わる仕組みです。
Immutable XとIMXの将来性を解説します
Immutable X(イミュータブルエックス)とIMXの将来性を占うポイントは以下です。
- NFT市場の拡大により、Immutable Xが使われるプロジェクトが増える
- 有名プロジェクトがたくさんリリースされることで、注目が集まる
- 有名企業との提携により、注目が集まる
NFT市場の拡大により、Immutable Xが使われるプロジェクトが増える
NFT市場は急激に拡大しています。
NFTの取引サービスを作るためには、基盤となるブロックチェーンの利用が必要です。
NFT市場の拡大によって、たくさんのサービスが生まれれると、当然ながらブロックチェーンソリューションのニーズも高まることになります。
現在すでにサービス基盤にImmutable Xを採用しているプロジェクトが多く、他のチェーンと比べても十分競争力があります。
となると、市場拡大により、Immutable Xを使うプロジェクトもどんどん増えていくでしょう。
Immutable Xの利用が増えると、独自トークンのIMXの価格が上がることも期待されます。
有名プロジェクトのリリースで注目が集まる
2021年春、世界最大のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaが基盤をImmutable Xに統合するとの発表がありました。
2022年後半は、ブロックチェーンゲームのプロジェクトとして非常に高い注目を集めているIlluvium(イルヴィウム)のリリースが控えています。
Illuviumは、ビジュアルの美しさやゲームとしての完成度の高さから、大きな注目を集めています。
このように注目度が高いプロジェクトがリリースされれば、プラットフォームであるImmutable Xにも自然と注目が集まります。
注目を集めて成功するプロジェクトが出てくれば、注目が注目を集めるという良い循環が生まれ、Immutable Xの評価が上がり、IMXの価格も伸びていくでしょう。
有名企業との提携で注目が集まる
先日、GameStopという世界最大のゲーム小売会社がImmutable Xとの提携を発表しました。
今年後半にImmutable X上でNFTのマーケットプレイスをオープンするとしています。
また、2021年には、TikTokがクリエイター収益化のためのNFTコレクション、TikTok Top Momentsを発表しました。
TikTok Top MomentsはImmutable Xを利用して提供されています。
Immutable Xは月間のアクティブユーザが10億人以上のTikTokの巨大SNSの一サービスにも使われているのです。
直近でも、有名企業、有名サービスとの提携が発表され、大きな注目を集めました。
今後もビッグネームの企業との提携が発表されれば注目が集まり、IMXの価格にも良い影響が出ることは間違いないです。
IMXの価格推移
IMXの価格推移を紹介します。
- 〜2021年11月
- 500円から1,000円に上がり、最高値を記録しました
- 2021年12月〜2022年1月
- 500円台まで落ち、徐々に下がっていきました
- 2022年2月〜
- 200円〜300円程度で推移しています
IMXの購入方法を紹介します
残念ながらIMXは国内の取引所では取り扱っているところはありません。
購入したい場合は海外の取引所を利用する必要があります。
有名どころでいうとBinanceですね。
口座をお持ちでない方はぜひBINANCEに登録してみてください。
登録・口座開設の方法は以下の記事を参考にしてみてください。
注意点ですが、Binanceを始めとする海外の仮想通貨取引所の大半は、日本円の銀行振込による決済に対応していません。
クレジットカードで決済することもできますが、
- 手数料率が結構高い
- 使用できるカードに制限がある
などの理由であまりオススメできません。
日本円を利用して海外取引所で目当ての仮想通貨を購入する一番オーソドックスな方法は以下の通りです。
- 日本の仮想通貨取引所で円でXRP(リップル)などの仮想通貨を購入する。
- XRPなどの仮想通貨を海外の取引所に送金する。
- 海外の取引所で上記通貨を利用して目当ての仮想通貨を購入する。
日本の仮想通貨取引所の口座をお持ちの方は、普段お使いのところを利用してみてください。
お持ちでない方は、新規に口座を開設しましょう。
日本の仮想通貨取引所はbitbankがオススメ
個人的オススメはbitbankです。手数料が高い「販売所」形式ではなく、手数料が安い「取引所」形式で全銘柄を売買できるのがイチオシのポイントです。
他のメジャーな取引所では、「販売所」の取扱銘柄は多いけど「取引所」で購入できる銘柄は極端に少ない というところが多いです。
bitbankであれば、全銘柄を「取引所」で購入でき、大体のケースでトータルの手数料を安く済ませることができます。
bitbank公式
bitbankで仮想通貨を購入して海外の取引所に送金
登録と入金が終わったら、XRP(リップル)などの仮想通貨を購入していきましょう。
日本の取引所側で購入する通貨はなんでもOKですが、手数料等の余計なコストを抑えるならBTC(ビットコイン)やETH(イーサリアム)などの送金手数料が高い通貨は避けた方がいいです。
XRP (リップル)は送金手数料がかなり安く、海外取引所送金用に購入するのにもってこいです。
購入はスマホアプリがスムーズで便利です。画面下部の「取引所」をタップして「XRP/JPY」を押してください。
黒い画面に遷移します。「注文」をタップすると実際の取引画面に移動します。
赤枠内に希望の価格、数量情報を入力して注文をタップすれば指値注文が完了します。
画面左に並んでいる赤文字と緑文字の真ん中が現在取引が進んでいる注文の価格です。(画面の例の場合、「102.201」)
上記をベースに自分が購入を希望する金額を入力すればOKです。
その後、上記通貨を海外の取引所に送金して、海外の取引所側でお目当ての通貨を購入しましょう。
海外取引所への送金方法は、以下の記事を参考にしてみてください。
Immutable X(イミュータブルエックス)とIMXのまとめ
今回は、注目のレイヤー2ブロックチェーンソリューション、Immutable X(イミュータブルエックス)とそのトークンIMXについて紹介しました。
- Immutable XはNFTプロジェクトに向けて開発されたレイヤー2の仕組みです。
- イーサリアムをベースとしており、高いセキュリティを保ちつつもガス代0と高速処理を実現しています
- 有名プロジェクトとの提携が進んでおり、注目を集めています。
Immutable XはNFTサービスのいわばインフラです。
ゲームのトークンは、そのゲームがこけるとおしまいです。
しかし、Immutable Xはインフラであり、IMXの価値は一つのタイトルの当たり外れに左右されるものではありません。
IMXの価格は短期的には落ちることがあっても、長期的にはNFT市場の拡大に牽引されて伸びていくポテンシャルがあると思います。