そんな疑問をお持ちの方向けに、Polygon(ポリゴン)や仮想通貨MATIC(マティック)の特徴や将来性について詳しく解説していきます。
そもそもPolygon(ポリゴン)とは?
そもそもPolygon(ポリゴン)とは、イーサリアムの性能を拡張するために開発されたサービス群 です。
Polygonを使うことで、セキュリティを犠牲にすることなく、高速でかつ低コストで使えるdApss(分散型アプリケーション)を作ることができます。
イーサリアム等の主要ブロックチェーンは、動作が遅い、手数料が高い という問題点があります。
この問題を解決するために様々なサービスが開発されています。
イーサリアムとは全く別の高速ブロックチェーンを作る方向性もありますが、Polygonはイーサリアムの性能を拡張することで課題解決を目指しているサービスです。
イーサリアムの課題
「ブロックチェーンのトリレンマ」という言葉があります。
- 分散化
- スピード
- セキュリティ
どれか二つを実現すると最後の一つはダメになってしまい、これらを全て実現することはできない という意味です。
実際、イーサリアムは、分散性やセキュリティは非常に高いです。
しかし、取引スピードは遅く、最大で1秒に15件までしか処理を行うことができません・・
また、取引にかかるガス代と呼ばれる手数料もかなり高いです。
時間によって変動しますが、数千円することもザラです。
しかも支払うガス代によって取引承認のスピードが変わり、ガス代が少ないと10分以上待たされることもあります。
セキュリティ水準は非常に高いのですが、その代償として使い勝手は悪いです。
でも、よく考えてみると、決済系のサービスであれば高セキュリティであることは重要ですが
ゲームなど、使い勝手優先で良くて、必ずしも高いセキュリティを必要としないサービスもあります。
使用用途によっては、必ずしもイーサリアムそのものにこだわらなくても良いです。
例えば、近くに買い物に行くなら、砲弾を受けても倒れないようにと戦車で行く必要はないでしょう。
自動車で十分です。
何であれ、目的によって最適な道具があります。
適切な道具を選んで使おうという発想で、数多くのブロックチェーン性能拡張ソリューションが開発されています。
Polygon(ポリゴン)はDapps(ブロックチェーン上につくるアプリケーション)の開発者向けに複数のサービスを用意しています。
その中でも最もよく使われているのが、Polygon PoS
Polygon PoSは、イーサリアムのサイドチェーンと呼ばれる仕組みで動いています。(厳密にいうと、レイヤー2の要素を持っていますが、実態としてはサイドチェーンに近い)
後ほど詳しく解説します。
Polygon PoS
開発者にとっては、イーサリアムからの移行が非常に簡単であるのが魅力で、コードをコピーして簡単にPolygonに移行することができます。
- 1秒あたり最大処理件数65,000
- 取引手数料イーサリアムの1/10,000程度
非常に高速で、手数料が圧倒的に安いです。数円〜1円を切るくらいで使えます。
ただし分散性はイーサリアムに比べるとかなり低めです。
このように分散性は劣るものの、それを補ってあまりあるほど非常に高い性能を誇っています。
ウィークポイントを改善するための努力も続けられています。
Polygon PoSの他にも、Polyognでは様々なサービスが用意されていて、目的や用途に応じて適切なものを選んで開発に使用することができます。
Polygon(ポリゴン)の特徴
Polygon(ポリゴン)は複数のソリューションで構成されているプラットフォームです。
2022年4月時点で、1万をこえるサービスがPolygon上で動いています。
種類も非常に多様で、NFT、取引所、ゲーム、ウォレット、メタバース など様々です。
特にNFT、ゲーム、メタバース分野はPolygonとしても利用拡大に力を入れている分野です。
その一方で、プライバシー保護関連の技術開発も積極的に進めており、
企業利用向けのソリューションにも力を入れています。
Polygon StudiosというTwitterのアカウントでは、日々様々なプロジェクトが紹介されています。
Tweets by polygonstudios以下、Polygon(ポリゴン)の特徴です。
- イーサリアムを拡張するプラットフォーム
- ゼロ知識証明という技術に注力し大金を投資している
- 開発環境の充実・サポートに力を入れている
イーサリアムを拡張するプラットフォーム
冒頭にも記載しましたが、Polygon(ポリゴン)はイーサリアムの高コスト、低速度という課題を解決するために、イーサリアム自体の拡張を目指す複数のサービスを集めたプロジェクトです。
用途や目的別に様々なサービスを用意しています。
セキュリティ特化、スピード特化、プライバシー保護特化等、目的・用途によって多様なサービスを使えます。
セキュリティを犠牲せず、取引スピードの高速化、コスト削減の実現が可能です。
ゼロ知識証明という技術に注力し大金を投資している
Polygonは、ゼロ知識証明という技術に注力しており、大金を注ぎ込んで技術開発に投資をしています。
まず、ブロックチェーンには、プライバシーという観点で少し問題があります。
ブロックチェーンのプライバシー問題
ブロックチェーンは取引の履歴が全て公開されており、不正や改ざんがなかったかの検証が容易にできます。
データの信頼性が高く、セキュリティも高い画期的な仕組みです。
しかし一方で、プライバシーという観点では少し問題があります。
一度アカウントと個人が結びついてしまうと、その人がどのような取引をしたのか過去から未来まで丸裸になってしまうのです。
そこで役に立つのがゼロ知識証明です。
ゼロ知識証明とは
zero knowledge proofの略
→自分がある情報を知っていることを、「その情報自体」を相手に明かさずに相手に証明する方法
他者に対してオープンにする情報を最小限に抑える仕組みです。
ゼロ知識証明は、複雑な数学的方法を用いて情報を暗号化することでユーザのプライバシー保護を行えます。
Polygonはこのゼロ知識証明の技術に大金を投資しています。
また、ゼロ知識証明は、ブロックチェーン高速化によく使われるRollupという技術に組み込まれています。
これをzk-Rollupと呼びます。
Rollupは「巻き上げ」という意味。
Rollupでは、処理を高速化するために、多数の取引(トランザクション)を外部でまとめ、一括でイーサリアムにデータを書き込む処理を行います。
外部からイーサリアムにデータを書き込む際、それが不正なデータでないことを担保することが必要です。
何かしらのチェックがないと、不正なデータが入力される可能性があり、安心して使うことができないです。
↑このチェックにゼロ知識証明が活用されています。
ゼロ知識証明を活用した高速化技術がzk-Rollupです。
ゼロ知識証明を使うことで、取引を外部でまとめても、きちんとセキュリティを保った状態でメインのチェーンで処理を進めることができます。
開発環境の充実・サポートに力を入れている
Polygon(ポリゴン)はとにかく多くの開発者に使ってもらえるよう、開発環境の充実・サポートに力を入れている印象です。
- Polygonはイーサリアムとの互換性が非常に高いです。
- 一番よく使われているPoS Chainではコードを大きく変えずに簡単にイーサリアムからPolygonへ移行することができます。
- 開発者むけドキュメントやフレームワークも充実しており、開発者側にとって魅力的な環境を用意しています。
- Polygon StudiosというNFTやブロックチェーンゲーム開発支援に特化した会社を立ち上げています。
- すでに多くのブロックチェーンゲームがPolygon上に構築されていて、開発や運営のノウハウを持っています。
積極的にNFT、ブロックチェーンゲーム開発のサポートを進めています。
- すでに多くのブロックチェーンゲームがPolygon上に構築されていて、開発や運営のノウハウを持っています。
競合との違い
既存の主要ブロックチェーンの課題を解決するために開発されたプロジェクトはたくさん存在しています。
Polygonはイーサリアムのスケーリング(性能拡張)のためのツールを多数提供するプラットフォームのようなもの。
目的や利用用途によって複数のサービスが用意されており、
他の似たようなブロックチェーン高速化ソリューションと比べて選択肢の幅が広いのが魅力だと思います。
Polygonはレイヤー2のサービスを持っています。
Ronin等のサイドチェーンと比べると、セキュリティや分散性を犠牲にせずに取引スピードを高速化させることができます。
レイヤー2とは
イーサリアム外で処理をまとめて行い、最終結果をイーサリアムに書き込む仕組み。
また、Polygonは、サイドチェーンのサービスも持っています。
サイドチェーンとは
イーサリアムとは別のブロックチェーンを作り、そこで処理を完結させ、資産をイーサリアムに移動する仕組み。
サイドチェーンの場合は、イーサリアムから完全に独立した全く別のチェーンです。
セキュリティはレイヤー2に比べると劣りますが、他の同じような高速化ソリューションや独自ブロックチェーンと比べて圧倒的に高速で使うことができます。
なんと、1秒あたり最大65,000もの取引(トランザクション)を処理できるとうたっています。
- セキュリティを確保して処理性能を上げる
- セキュリティはそこまで重視せず、スピード面に振り切って圧倒的に高速化を実現する
というように、複数の方向性が用意されているのが、Polygonならではの魅力だと思います。
Polygonの主要サービスを簡単に紹介します
ここでは、Polygon(ポリゴン)の主要サービスを簡単に紹介していきます。
Polygon PoS
Polygon PoSは、Polygonのサービス群の中でも一番メジャー。
よく使われています。
Polygon PoSは、サイドチェーンと呼ばれる独自のブロックチェーンです。(厳密にいうと、レイヤー2の要素も持っていますが、実態としてはサイドチェーンに近い)
処理をPolygon側で行い、イーサリアムとPolygon PoS間で資産を移動してやり取りする仕組みです。
イーサリアムとの互換性が高く、イーサリアムと同じような使い勝手で、イーサリアム基盤からの移行がとても楽です。
実際に多数のプロジェクトがPolygon PoSでも動かせるようになっています。
有名どころでいうと、OpenSeaやDecentraland等。
ネットワークに参加しているノードの数が100とイーサリアムと比べると少ないのですが、最大取引(トランザクション)処理件数が1秒あたり65,000と非常に性能が良いです。
Polygon Hermez
Polygon Hermez(ポリゴンエルメス)はレイヤー2のサービスです。
多数の取引処理を別のチェーンで集約し、それを一つにまとめてメインのブロックチェーンに送る 仕組みです。
zk-Rollupという技術を使っています。(zkはゼロ知識証明 zero-knowledge proof の略)
処理をメインのチェーン(イーサリアム)で行うことから、イーサリアムの高いセキュリティを利用できるのが大きな特徴です。
1秒あたり2,000件の取引を処理できるとうたっています。
PoSチェーンよりは処理スピードは落ちますが、高セキュリティ環境でやり取りを行えるのが特徴です。
なので、決済・送金系のサービスでよく使われます。
Polygon Avail
Polygon Avail(ポリゴンアベイルズ)は、ブロックチェーンのデータ可用性問題に着目したサービスです。
データ可用性とは
ブロックチェーンはネットワーク参加者が過去から現在までの全ての取引記録を保持します。
なので、時間が経つと、これまでの取引記録のデータサイズがどんどん大きくなります。
データサイズが大きくなると、ネットワークへの参加に高スペックのマシンを用意する必要が出てきてハードルが高くなってしまいます。
取引データの一部のみ公開でOKとするなどの対応も考えられますが、それだとブロックチェーン自体の安全性が低くなってしまいます。
このジレンマがデータ可用性問題 です。
Polygon Availは、データ可用性問題に着目して、スケーリング(ブロックチェーンの性能強化)を目指すサービスです。
Polygon Nightfall
Polygon Nightfall(ポリゴンナイトフォール)は、Polygon Hermezと同じく、ゼロ知識証明、zk-Rollup技術を利用したサービスです。
ただし、Hermezと違い、zk-Rollupとは別のRollup技術であるOptimistic Rollupも合わせて活用します。
プライバシーを重視しており、企業利用向けに開発しています。
Polygon Miden
Polygon Midenもゼロ知識証明を利用したサービスです。
zk-Rollupには、
- zk-STARKs
- zk-SNARKs
の2種類の技術があるのですが、このうちzk-STARKsという技術を使います。
イーサリアムと同等レベルの高いセキュリティを実現するとうたっており、セキュリティ重視のソリューションです。
Polygon SDK
SDKは、ソフトウェア開発キットの略です。
Polygon SDKは、「独自のブロックチェーン」を開発するのに使用する開発ツール群です。
サービスの開発に必要なツールやフレームワークをセットにして用意しています。
SDKを使うことで効率よく開発ができ、イーサリアムと互換性のある独自のブロックチェーンを作ることができます。
企業利用が主なターゲットです。
プライベート性の高いブロックチェーンを使う必要が出てきた際に独自チェーンを作る場面で大きく役に立ちます。
まとめ
Polygonと一口に言っても、その中で非常にたくさんの種類のサービスが開発されていることがわかったかと思います。
Polygonはイーサリアムのスケーリングのためのツールを提供するプラットフォームと考えてもらうと良いかと思います。
現状、スケーリング(ブロックチェーンの性能向上)を目的としたプロジェクトは非常に多いですが、Polygonはプラットフォームである という点が競合と異なる点の一つです。
また、ゼロ知識証明、zk-Rollupという技術に大金を投資して技術開発を行っているのも特徴ですね。
PolygonのトークンMATICについて解説します
MATIC(マティック)とは、Polygon(ポリゴン)で使うトークンです。
使用用途は、以下の通りです。
- ガス代
- ステーキング
- ガバナンス
ガス代
ポリゴンチェーンで取引を行う際の手数料をMATICで支払います。
イーサリアム上のサービスで手数料を支払うのにETHを使う のと同じイメージですね。
ステーキング
PolygonはPoSという仕組みを採用しており、MATICをステーキング(預け入れ)することで、ネットワーク維持への貢献のお礼としてMATICを獲得することができます。
ガバナンス
ガバナンスに参加することができます。(2022年5月時点では未公開)
トークン所有者は、Polygonの開発の方針に対してなされた改善提案に参加することができます。
MATICは利用場面の多い仮想通貨
現在非常に多くのサービスがPolygonチェーンに対応しており、MATICを使う場面も多いと思います。
例えば、世界最大級のNFTマーケットであるOpenseaは、Polygonチェーンに対応しています。
Polygonチェーンで出品されているNFTを購入する場合は、Polygonチェーン版のETHを使って支払います。
Polygonチェーン版のETHはMATICを購入してPolygon上でETHと交換するのが手数料が安く済みます。
このように、Polygonに対応しているサービスを使う際には、手数料をMATICで支払う以外にも、MATICを使うとスムーズなことがあります。
MATICの購入方法を解説解説します
MATIC(マティック)の購入方法はいくつか存在します。
国内の仮想通貨取引所で購入することはできません。
- イーサリアムとのブリッジ
- 銀行振込でJPYCを購入してウォレットでスワップ
- 海外の取引所で購入
本記事では分かりやすさの観点で、3番「海外の取引所で購入」の方法を解説します。
口座をお持ちでない方はぜひBINANCEに登録してみてください。
登録・口座開設の方法は以下の記事を参考にしてみてください。
注意点ですが、Binanceを始めとする海外の仮想通貨取引所の大半は、日本円の銀行振込による決済に対応していません。
クレジットカードで決済することもできますが、
- 手数料率が結構高い
- 使用できるカードに制限がある
などの理由であまりオススメできません。
日本円を利用して海外取引所で目当ての仮想通貨を購入する一番オーソドックスな方法は以下の通りです。
- 日本の仮想通貨取引所で円でXRP(リップル)などの仮想通貨を購入する。
- XRPなどの仮想通貨を海外の取引所に送金する。
- 海外の取引所で上記通貨を利用して目当ての仮想通貨を購入する。
日本の仮想通貨取引所の口座をお持ちの方は、普段お使いのところを利用してみてください。
お持ちでない方は、新規に口座を開設しましょう。
日本の仮想通貨取引所はbitbankがオススメ
個人的オススメはbitbankです。手数料が高い「販売所」形式ではなく、手数料が安い「取引所」形式で全銘柄を売買できるのがイチオシのポイントです。
他のメジャーな取引所では、「販売所」の取扱銘柄は多いけど「取引所」で購入できる銘柄は極端に少ない というところが多いです。
bitbankであれば、全銘柄を「取引所」で購入でき、大体のケースでトータルの手数料を安く済ませることができます。
bitbank公式
bitbankで仮想通貨を購入して海外の取引所に送金
登録と入金が終わったら、XRP(リップル)などの仮想通貨を購入していきましょう。
日本の取引所側で購入する通貨はなんでもOKですが、手数料等の余計なコストを抑えるならBTC(ビットコイン)やETH(イーサリアム)などの送金手数料が高い通貨は避けた方がいいです。
XRP (リップル)は送金手数料がかなり安く、海外取引所送金用に購入するのにもってこいです。
購入はスマホアプリがスムーズで便利です。画面下部の「取引所」をタップして「XRP/JPY」を押してください。
黒い画面に遷移します。「注文」をタップすると実際の取引画面に移動します。
赤枠内に希望の価格、数量情報を入力して注文をタップすれば指値注文が完了します。
画面左に並んでいる赤文字と緑文字の真ん中が現在取引が進んでいる注文の価格です。(画面の例の場合、「102.201」)
上記をベースに自分が購入を希望する金額を入力すればOKです。
その後、上記通貨を海外の取引所に送金して、海外の取引所側でお目当ての通貨を購入しましょう。
海外取引所への送金方法は、以下の記事を参考にしてみてください。
PolygonとMATICのまとめ
Polygon(ポリゴン)とMATIC(マティック)についてまとめます。
- Polygonはイーサリアムの性能拡張のためのプラットフォーム
- 10,000を超えるサービスがPolygon上で動いている
- MATICはPolygonのネイティブトークンで、色々なところで使うことができる
レイヤー2ソリューションの注目技術であるゼロ知識証明に多額のお金を投資して研究開発を行っており、これからのブロックチェーンの業界を引っ張っていくプロジェクトです。
現在も多数のサービスに使われている実績があり、今後の将来性も高く、おすすめのブロックチェーンソリューションです。