GameFiとは2020年にはじめて使われた新しい言葉です。
2021年に入りよく耳にするようになりましたね。
と疑問をお持ちの方向けに、GameFiの本質や将来性について詳しく解説していきます。
GameFiとは新しい経済圏の創出
GameFiとはGameとDeFiを組みあせわた用語です。
DeFiとは、分散型金融という意味です。
DeFiは、お金を預けるだけで大きく稼げると、2020年から人気に火がつきました。
GameFiはDeFiとゲームを組み合わせて作られた言葉で、ゲームの金融化のような意味を持ちます。
ネットでGameFiを調べていると、GameFiとは「Play to Earn」、つまり「プレーすることで稼ぐことができる」ゲームのことだと解説しているサイトをよく見かけます。
GameFiはまだできて間もない言葉です。明確な定義ができあがっているわけではありません。
しかし、私としては、単なる「Play to Earn」ではなく、ゲームと実体経済がつながり「仮想世界で新しい経済圏を作る」ことがGameFiの本質だと考えています。
・・・ちょっとなんのことかわからないと思うので、具体例を紹介します。
ゲーム内の経済圏
Decentralandというブロックチェーンゲームでは、ユーザは現実世界と同じようにビジネスを行なって収益を得ることができます。
例えば、土地の売買、美術館を作って入場料を取る、洋服を作って販売する、カジノを開く などなど
すでにバーチャルな経済圏が出来上がっています。
収入はトークン(独自の仮想通貨)でもらうことができ、海外の取引所などを利用すれば他の仮想通貨や日本円等の法定通貨との交換が可能です。
ゲーム内で稼いだお金は、別通貨に交換すれば他の仮想世界でも使うことができますし、現実世界でも使うことができます。
Decentralandは仮想空間内を自由に行き来して楽しむゲームです。
ただ稼げるゲームというわけではなく、
報酬設計の仕組みを緻密に作り込んでゲームを軸とした新しい経済圏を構築することがGameFiの本質だと考えます。
GameFiのゲームではどのようにお金を稼げるのか
では、GameFiのゲームでは、ユーザはどのようにお金を稼ぐことができるんでしょうか。
主な稼ぎ方は以下の3種類です。
- タスクをクリアすると報酬がもらえる
- アセットの売買やレンタルで収益を上げる
- 流動性マイニングやステーキングで報酬を得る
タスクをクリアすると報酬がもらえる
これはイメージしやすいと思います。
ソーシャルゲームなどで、クエストを消化するとポイントが溜まって、レベルアップやアイテム購入に使用できるような仕組みがありますよね。
あれと同じです。
例えば、Axie Infinityという大手のブロックチェーンゲームでは、コンピューターや他のユーザと対戦して勝つとSLPというトークン(仮想通貨)をもらえます。
SLPは仮想通貨として、海外の取引所で売却が可能です。
ゲーム内で使うことももちろん可能です、が基本的には貯めて売ることの方が多いと思います。
「ゲームの進行によって報酬がもらえる」という仕組み自体は普通のゲームと変わりませんが、大きく違うのは、手にした報酬がゲーム外でも価値を持つ点です。
これが「Play to Earn」、つまりゲームで稼ぐことができる理由です。
アセットの売買やレンタルで収益を上げる
これはあまりピンとこない人が多いかもしれません。
わかりやすくいうと、不動産業や小売業、レンタル業などの現実世界で行うような商売をゲームの世界で行うことができる。ということです。
有名ゲームで例えるなら、
- ポケモンで強いポケモンを貸し出して、使用料をもらう
- あつまれどうぶつの森で自分の島を売ってお金をもらう
といったイメージでしょうか。
先ほどのDecentralandというブロックチェーンゲームでは、土地の売買や施設のレンタルなどでトークン(仮想通貨)を得ることができます。
ゲーム内で得た資産を使って現実世界と同じような商売ができるのは、ブロックチェーン技術のおかげでデジタルデータが資産価値を持つようになったからです。
デジタルデータが資産価値を持つ理由
本来デジタルデータはコピーが容易です。
例えば、映画や漫画などはネット上で海賊版が大量に出回っていますよね。
ところがブロックチェーン上で管理されるデジタルデータは改ざんが理論上できません。
厳密にいうとデータ自体の改ざん・コピーはできるのですが、所有権を誤魔化すことができずコピーするとすぐにバレるので、実質改ざんやコピーができないものと思ってもらって良いです。
このような「改ざんができないことが仕組み上担保されているデータ」をNFT(非代替性トークン)と呼びます。
デジタルデータは現実世界の宝石や不動産などのような高い資産価値を持ちづらかったのは、改ざんや複製が可能だったからという理由が大きいです。
ブロックチェーン技術によって、複製不可能なデジタル資産が生まれることにより、デジタルデータが高い資産価値を持つことができるようになりました。
さらに、ブロックチェーン上では、ユーザ間で相互取引が容易にできます。
従来のゲームでこれをやろうとすると、市場の仕組みや取引の不正チェックや監視機能が必要になります。
かなりハードルが高く、多額のコストがかかるため、普通のゲームでは、ユーザ間の取引を禁止しているものが非常に多いです。
一方で、ブロックチェーンゲームでは、仕組み上、ユーザ間の取引が自由に行えるようになっています。
以上でご紹介した
- 複製不可能なデジタルデータ
- ユーザ間の取引が容易にできる
この二つの特徴によって、現実世界と同じような商売がゲームの中でもできるようになっているわけです。
さらに面白いことに、ゲームによっては資本主義的な事業家としての活動を行うプレーヤーも登場してきています。
Axie Infinityのスカラーシップ制度
Axie Infinityというゲームでは、ゲームを始めるためだけに、一体数万円するAxieというキャラクターを3体揃える必要があります。
3体購入するとなんと日本円で10万〜20万くらいのお金が必要になります。ゲームの課金としてはなかなか高額です。
普通のゲームユーザにとってはなかなか手を出しづらい金額ですよね・・
資産に余裕があるマネージャーというプレーヤーが無料でAxieを貸し出すことで、お金がないユーザでもプレーできるようにしたのがスカラーシップ制度です。
マネージャーはAxieを貸した見返りとして、ユーザが稼いだ利益の一部を受け取ることができます。
現実世界でいうところの投資家ですね。
Axie Infinityのこのような取り組みは今後多くのブロックチェーンゲームで採用され、発展していくものと思われます。
流動性マイニングやステーキングで報酬を得る
流動性マイニングとステーキングはDeFi(分散型金融)で使われる用語です。
流動性マイニングとは、ユーザがサービスに資金を預けることで、流動性を提供してくれた対価としてガバナンストークン(サービスの方針決定の投票権を持つ通貨)を受け取ることができる仕組みです。
DeFiは銀行、もしくは通貨の交換所のようなものだと思ってください。
流動性とは、その交換所における通貨の交換のしやすさのことを指します。
交換所に存在する通貨の種類や量が多いほど、流動性が高い=通貨を交換しやすくなります。
このような取引所には、通貨を貸し借りしやすく取引がしやすいということで多くのユーザが集まります。
取引所に通貨を預けて流動性を高めてくれたお礼としてガバナンストークンという報酬がもらえるわけです。
これが流動性マイニングです。
ちなみに、ガバナンストークンとは株のような仮想通貨です。
なので、流動性マイニングとは、交換所にお金を預けてその交換所の株をもらう仕組みであると言えます。
有望な事業体であれば、その企業の株の評価額は高くなります。
DeFiでは年利10%や数百%と、銀行にお金を預けるのと比べるとあり得ないほど超高利回りのものが存在しますが、
これは流動性マイニングでもらうガバナンストークン(≒株)の評価額がかなり高いためです。
流動性マイニングと似たサービスでステーキングというものもあります。
ステーキングとは、流動性マイニングと同じく、ユーザがサービスに仮想通貨を預けることで対価として報酬がもらえる仕組みです。
流動性マイニングと違うのは、報酬をもらえる対価が「流動性の提供」ではなく「サービスへの貢献」である点です。
ガバナンストークンというのは、株と似た性質を持つ通貨のようなものだと説明しました。
企業は株を売って資金を調達して事業を行い、事業の発展に貢献してくれたお礼として配当を配ります。
ガバナンストークンを買って一定期間サービスに預け入れると、株の配当と同じように、サービスの発展への貢献のお礼として報酬を受け取れます。
また、株の配当に相当する報酬だけではなく、
その「サービスや新機能の開発方針」の決定に関われる投票権のような機能が付与されます。
トークンを多く持っているほど、方針の決定に関われる度合いが大きくなります。
これも、株に似ていますね。
株を多く持つ人は、株主総会で多くの議決権を持ち、会社の方針決定に大きな影響を及ぼすことができます。
ガバナンストークンを持つユーザも、ゲームの方針決定、ゲーム内の経済圏の方針決定に関われるようになります。
ユーザがサービス運営に関わり、中央の管理者なしでもサービスの運営が回っていく仕組みを自立分散型組織(DAO)と呼びます。
従来のゲームでは、ゲーム会社がサービスの設計、開発、運営・管理を全て行なっていました。
もちろん一般ユーザがゲームの方針決定に関わることはできません。
GameFiはこの常識を覆して、サービス開発や運営までも分散化(=みんなで運営する)を進めているサービスが多いです。
管理者が独占的にゲームの経済圏の方針決定を行うのではなく、ユーザの意思決定を通じて自律的に発展していくことを目指します。
GameFiの現在と将来
最後にGameFiの現状と将来について見ていきます。
まず、NFT業界の市場規模は、非常に急速に拡大しています。
このグラフの2021年の値は予測値ですが、2020年の2倍以上に成長するのではないかと予想されています。(約800億円規模)
引用:https://gourmetgalaxy.medium.com/nfts-market-size-research-b9da85743650
この記事を書いているのは2021年10月ですが、今の状況を見ていると2021年のNFT売上は上記の予測値を大幅に超えそうです。
2021年はNFT元年と呼ばれてニュースでNFTという単語を聞く機会も増えましたが、今後さらに急速に普及していくと思います。
GameFiの現在
ブロックチェーンゲーム業界で現時点で最大手のAxie Infinityの売上推移です。
2021年の4月の売上は約7,300万円でしたが、8月にはなんと約400億円(365億ドル)を突破しました。(その後の月は少し下がっていますが)
引用元:https://www.tokenterminal.com/terminal/projects/axie-infinity
先ほどのNFTの年間市場規模の2021年予測値の半分をひと月で稼いだことになります。
400億円って、ちょっとした大企業の年間売上くらいあります。
それをたった1ヶ月で稼いでしまったということです。
ちなみにAxie Infinityはsky mavisという会社が開発していますが、現在この会社が持っているゲームタイトルはなんと・・Axie Infinityだけです。
ブロックチェーンゲームを開発している会社は小さいプレーヤーが多いです。
急に出てきた企業が短い期間でこれだけ爆発的に成長できるというのは従来のゲーム業界では考えられないことだと思います。
現在はそういった多くの新興企業がしのぎを削っていますが、来年からどんどん大手のゲーム会社も参入してくると思われます。
あまりにも変化が早いので、来年、この業界が一体どうなっているか予想できる人はいないのではないかと思います。
GameFiの将来
ここからは、GameFiの将来やGameFiがもたらす未来について考察していきたいと思います。
仮想通貨の実体経済を拡張する
2020年からDeFi(分散型金融)が世界的に注目を集め、投資家の資金が流れ込みました。
普通のビジネスでは、物やサービスを作ってお金を稼ぎます。これを実体経済と呼びます。
一方で、金融は、お金を使ってお金を増やすビジネスです。
金融経済は実体経済の上に成り立っています。
実体経済を通じて世の中にサービスが生まれ価値がもたらされるから、銀行や投資家はお金を企業に投資します。
金融経済と実体経済の間にあまりに乖離が出ると、リーマンショックのような金融危機やバブルが起こります。
現在は、仮想通貨をサービスの消費に使ったり、サービスの対価として仮想通貨を手に入れるよりも、仮想通貨を投資や保有目的で利用している方が多いです。
つまり、現在、仮想通貨は金融経済を中心として回っている比重が大きく、金融の土台となる実体経済との乖離が大きい状態ではないでしょうか。
一方で、GameFiは実体経済を仮想通貨の市場に持ち込んだものであり、仮想通貨の実体経済を拡張していく流れだと捉えることもできます。
投資マネーがGameFi等に流れこむことで、実体経済が伴うようになり、仮想通貨のボラティリティの解消、安定化に繋がっていくと思います。
ゲームとビジネスの境界線が消える
将来的には、ゲームとビジネス(収益化を目的とする事業)の境界線は徐々に消えていくと思います。
ゲームもビジネスも、「報酬の獲得を目指して競争する活動である」という観点では似ています。
GameFiによってゲームで稼ぐことが一般的になれば、ゲームもビジネスも違いはなくなるのではないでしょうか。
まだ適切な用語はありませんが、新しい言葉が生まれて、もっと大きな括りで認識されるようになるかもしれません。
これからは、労働も現実世界で行う必要はなくなります。
自分が好きな仮想空間を選んでそこで遊ぶことで生計を立てることができるような時代がくると思います。
働くという言葉にネガティブな印象を持つ人も多いかもしれませんが、働くことと遊ぶことに段々と違いはなくなってくると思います。
仮想世界と現実の境界線が消える
また、さらにゲームと現実の境界線も消えていくと思います。
今、メタバース(仮想空間)が注目を集めています。
詳しくは以下の記事で解説しています。
現在は、DecentralandやThe Sandboxというサービスが有名です。ゲームというくくりで紹介されることもあります。
メタバースとは、人間が生活する世界をバーチャル空間に作ってしまうという概念です。
最近流行ったあつ森もメタバースに近いゲームです。
VRやAR技術が発展してくると、ゲームの世界もよりリアリティを持って体験できるようになると思います。
ゲームの世界も現実と同じリアリティを持って体験できるようなれば、現実世界ではなく仮想世界で1日の多くを過ごす人も増えるでしょう。
いくつもの仮想世界の中から自分にあったものを選んだり、複数の世界を切り替えて日常を送ることが当たり前な時代がやってくると思います。
今でも、電車に乗っていると、ほとんど全ての人がスマートフォンの画面をじっと見ています。
仕事や寝る以外の時間はスマートフォンの画面を見て過ごしているという人も多いと思います。
スマートフォンの画面の中も一種の仮想現実であり、すでに多くの人が仮想現実の中で1日の大半を終えるようになっており、VR技術などの発達によってこの流れは加速していくはずです。
GameFiによって仮想世界で生計を立てることが一般的になれば、現実世界で仕事をする必要もなくなり、自分にあった仮想世界で生活することができるようになるはずです。
オススメのGameFi銘柄を紹介!
ここでは、オススメのGameFi銘柄を紹介します。
まずは、これまでにもご紹介したAxie Infinityで発行されている二つの仮想通貨AXSとSLPです。
2021年に最も人気が出たAxie Infinityですが、新バージョンの発表も控えており、今後も人気が期待されるゲームです。
二つ目が、Illuviumという本格派ゲームのガバナンストークンILV。
ゲームのリリース前からとにかく注目を集め、リリース前の段階で価格が急騰した注目銘柄です。
GameFi銘柄を購入するなら大手取引所のBinanceがおすすめです。
口座をお持ちでない方はぜひBINANCEに登録してみてください。
登録・口座開設の方法は以下の記事を参考にしてみてください。
GameFIとは結局何なのか
長くなりましたが、これまで話してきたGameFiの特徴をまとめてみます。
GameFiでは、
- 稼いだ報酬はゲーム外でも価値を持つ
- NFT技術により現実世界と同じようなビジネスを展開できる
- ステーキングによりサービスの運営にユーザが関与できるようになる
私は、GameFiは、単なる稼げるゲームのことではなく、ゲームの中で自発的に発展する新しい経済圏をごっそり作ってしまおうという野心的な取り組みだと考えています。
従来は、ゲームの世界と現実世界は全く別物でした。
ゲームは趣味や遊び、もしくは現実逃避の手段と考えている人も多いと思います。
ゲームばっかりやっている人に対して、「遊んでいるだけ」、「だらけているだけ」など、よくない印象を持っている人も多かったと思います。
ところが、GameFiではゲームで遊ぶことで収益を稼ぐことができます。
私は、GameFiが今後どんどん普及していくと、遊ぶことと労働の境界線は消えていくと思います。
さらには、仮想世界と現実の境界線も消え、多くの人が、複数の世界を切り替えて、自分が気に入った仮想世界で生活するようになっていく未来が来るのではないでしょうか。